浅く速い呼吸になっていませんか?
心拍数が基準値(健康な成人の安静時の心拍数は、厚生労働省によると約60-100回といわれています。そしてこれよりも高い人は心疾患のリスクが高くなるという研究データがあります。心拍数が高いということは、呼吸が速いということです。
呼吸は生まれた瞬間から人生の終わりが来る瞬間まで常に無意識的に行われているものです。いうまでもなく体内で日々行われているあらゆる動きの中で一番重要な動きです。
この呼吸をコントロールするというスキルは私たちの精神的そして肉体的なコンディションを変えるツールとしてかなり有効な手段です。
この記事では、呼吸について簡単に解説し、さまざまなタイプの呼吸法を利用したときに神経系に何が起こっているのかを簡単に説明していきます。
呼吸をコントロールするとはどういうことか
実は何千年も前からいくつかの文化圏では生理的にも心理的変化を生じさせることができるとされてきました。
そして現代では化学的に呼吸をコントロールすることが体の不調をとりのぞいたり、精神的な不安をとりのぞいたりするということが科学的にも証明されています。
こんなに重要で役に立ちそうな呼吸法ですが、学校で呼吸の大切さやを呼吸法教えてもらった経験があるという人はいないのではないでしょうか。自ら思い立って呼吸について踏み込んで考えるという機会もあまりないのではないかと思います。
私の場合、呼吸に関心を持つきっかけとなったのは、仕事のストレスから体に不調が出はじめ、明らかに呼吸が浅くなっていることに気づいたことでした。
自分のからだや心のケアより新しい仕事に慣れることに必死だったころ、身体の不調に鈍感にもなっていたにもかかわらず浅すぎる呼吸が気になり呼吸法・解剖学・ポーズ・哲学を含め体系的にヨガを学び始めました。
呼吸法の使い分け
それぞれの呼吸法には目的があり、神経系にさまざまな作用を及ぼすよう設計されています。
私たちは、安静時には平均して1分間におよそ10〜14回の呼吸をしています。 一方、呼吸を遅くすると、心拍数が低下し、血圧が下がり、心拍変動が大きくなり、二酸化炭素と酸素のバランスが取れた状態になります。 これは、本来人間が持つ休息やリラックス、消化をするときの状態、つまり「副交感神経が優位な状態」です。
逆に、呼吸数を 一分間20回以上に増やすと、心拍数、交感神経系、血圧、闘争・逃走反応を高める一方で、心拍変動がさがり、二酸化炭素、酸素の割合が低下します。二酸化炭素の減少は、血液中のアルカリ性を変化させます。この状態の時、呼吸法の練習中に頭がぼーっとしたり、手がしびれたりすることがあります。この練習では呼吸筋を鍛えてポジティブな免疫反応を引き出すのに最適な方法と言われています。
このように、呼吸法に応じて効果が異なってくるので、
- 眠りにつきたいときや気持ちを落ち着かせたいときには副交感神経に働きかける呼吸法
- 運動前に元気を出したいときや、体に幸福感をもたらしたいときは、交感神経に働きかける呼吸法
というように状況にあった呼吸法を取り入れるようにしましょう。
呼吸法練習する前に知っておくべきこと
呼吸法の練習が初めての方は、まず横隔膜を使った正しい呼吸ができているかどうかを確認することが大切です。
テンポの速い呼吸はより高度なテクニックとなります。正しい呼吸ができていないまま行ってしまうと身体に害を及ぼすことになりかねないので、順を追って練習を行うことをおすすめします。
まとめ
- 呼吸をコントロールできるようになると、健康やパフォーマンスに劇的な影響を与えます。
- 適切な呼吸法を身につけることで、必要に応じて自分の心や体の状態を変化させることができます。
- 酸素をより効率的に使えるようになり、結果的にエネルギーや精神集中力が高まります。
正しい呼吸法スキルを身に着けることで、不安が減り、パフォーマンスが向上するのであれば、人生を変えることができるといっても過言ではありません。
呼吸法の練習は、いつでも、場所を問わず行うことができ、ストレス軽減や肩こり解消などいろいろな問題を解消する手助けにもなる知られざる優れたスキルなのです。当然ですが、ストレスを感じて呼吸が浅くなっている人はぜひためしてみてください。